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2010/09/10

被写体

ある会社を経営しているご夫妻から中華料理をご馳走になり、いろいろと話をしているうちにご主人のM氏が最近一眼レフのカメラを買い写真を撮り始めたと聞く。思いがけぬことでチョッと驚いた。
「何をテーマに撮っているのですか」と尋ねたら、人物や風景でなく壁にできたシミなど、あまり人が見向きもしないようなものに惹かれてカメラを向けているという。そのこと自体はそれほどめずらしいことではないが、子どもの頃、鍵っ子だった話とか、詳しくは知らないけれど話の端々からうかがえる彼の生い立ち、彼を知ってからの言動などからものすごく分る気がした。
ましてこの不景気のさ中、何人かの若い社員を使い、日々忙しくビジネスをこなして頑張っている彼を見ているので何とも言えず嬉しかった。
そして、ああ、彼が仕事をみつけた、自分一人だけの密室で自分と向き合い、自分の内部の世界を凝視し、自分の物語を見い出す、そんな世界に一歩足を踏み入れたのだと思った。生きることに不器用な彼だからこそ見つけられる被写体ときっと出会うだろうと思う。いい写真が撮れる撮れないよりも、どんな被写体と遭遇するのか、それが楽しみだ。

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